去る3月9日に開催されたキックオフ院内集会では、260名を超える方、多くの議員の方々の参加を得て、滝山病院事件が精神保健医療福祉の構造的問題から発していることが多く語られた。この構造的問題に目を向け、1つ1つを解きほぐし、改善していく必要がある。今般の第2弾は“情報公開”という切り口から考えたい。
東京都は滝山病院に対して立ち入り検査を行っていたが特に暴行などの問題を指摘されることはなく運営が続けられていた。行政は病院に対して“立ち入り検査”や“実地指導”を行っているが果たしてそれは機能しているのだろうか?またそれは今のままでいいのだろうか?また、その立ち入り検査の結果を開示請求しても公開されない自治体がほとんどであるが、それで精神医療のユーザーにとって、医療選択権の保障がなされるのだろうか?共に考えたい。
日時 2023年4月13日(木)
時間 12:00~14:00
(受付11:30 より)
主催:精神科医療の身体拘束を考える会・滝山病院退院支援連絡会
あいさつ&コーディネーター 長谷川利夫さん(杏林大学教授)
報告
大田 雅子さん(奈良県/精神保健福祉士)
寺澤 暢紘さん(静岡県/心の旅の会)
稲川 洋さん(神奈川県/神奈川精神医療人権センター)
辻脇 邦彦さん(東都大学教授)
小幡 恭弘さん(みんなねっと事務局長)
木太 直人さん(日本精神保健福祉士協会常務理事)
総合司会 島本禎子さん(あおば福祉会理事長)
オンライン(ZOOM)
★ご希望の方は、4月11日までにお申し込みください。前日までにURLをお知らせします。
衆議院第二議員会館・第3会議室(東京都千代田区永田町2-2-1)
会議室の大きさの関係で、会場は議員および関係者のみとさせていただきます。
主 催
精神科医療の身体拘束を考える会/滝山病院退院支援連絡会
後援
日本障害者協議会(JD)/人権精神ネット/全国精神保健福祉会連合会(みんなねっと)/日本精神保健福祉士協会/日本精神科看護協会/全国精神障害者地域生活支援協議会(あみ)/東京都地域精神医療業務研究会/東京精神保健福祉士協会/大阪精神医療人権センター/兵庫県精神医療人権センター/埼玉県精神医療人権センター/神奈川精神医療人権センター/東京精神医療人権センター/その他、全国各地の地域事業所
賛同団体 DPI日本会議
連絡先 長谷川利夫(杏林大学教授) E-mail/hasegawat@ks.kyorin-u.ac.jp 携帯電話/090-4616-5521
主催:精神科医療の身体拘束を考える会
精神科医療の身体拘束を考える会 代表 長谷川 利夫
精神科病院における虐待及び「障害者虐待の防止、障害者の養護者に対す る
支援等に関する法律(障害者虐待防止法)」通報義務についての申入れ
今般、兵庫県の精神科病院である神出病院で、看護師、看護助手ら 6 名が逮捕されるという事件が起 きた。報道によれば、看護師らは患者を椅子に座らせ放水したり、男性患者同士でキスをさせたり、床 に患者を寝かせ柵付きベッドを逆さまに覆いかぶせて監禁するなど、その虐待は 1 年以上続いていた可 能性もあると言う。実におぞましい虐待であるが、これが精神科病院の中で行われていたことは看過で きない。
「精神科医療の身体拘束を考える会」にも、院内で看護師が患者を殴る、投げ飛ばされたが内部でも み消されたなどの情報も寄せられている。講談社刊の『なぜ、日本の精神医療は暴走するのか』第 10 章にある、山梨県甲府市の精神科病院の看護師長が患者の両眉を剃り落した事件も起きている。精神科 病院内で虐待は広く発生していると考えられる。
国として、患者の人権を守るために、精神科病院内で何が起きているのは早急に調査すべきである。 そして、精神科病院に対し、患者の人権を守るように強力に指導すべきである。
また、事件の背景には現行の「障害者虐待の防止、障害者の養護者に対する支援等に関する法律(障 害者虐待防止法)」の通報義務に病院、学校が除外されていることが、虐待が明るみに出にくい要因の ひとつであるように考えられる。今回の事件も、患者が訴え出たわけではなく、精神医療審査会に請求 されたわけでなく、警察が押収した職員のスマートフォンから複数の虐待の実態が明らかになったに過 ぎない。これは現行の制度では虐待事案を把握できないことを示しており、早急な改善を求めたい。
厚生労働行政推進調査事業障害者政策総合研究事業(精神障害分野)精神障害者の地域生活支援を推 進する政策研究である「精神障害者の権利擁護に関する研究」には、「わが国の精神医療審査会制度に 関しては、書類審査の偏重や欧米に比べた面接頻度の低さ、審査に要する期間の長さなど、制度的限界 が指摘され、精神保健福祉法改正のたびに精神医療審査会の機能は強化されてきた。制度施行から 32 年を経て、近年では、この制度創設の起点ともなった精神科病院でのあからさまな人権侵害事案は影を 潜めた。」との記述がある。これは事実を正確にとらえていない。今回のような事件があることも踏ま えて研究を行うべきである。
要望事項
1.全国の精神科病院に対し、虐待事案の実態調査を行う事。
2.全国の精神科病院に対し、厚労省として人権が守られるよう最大限指導を行う事。
3.「障害者虐待の防止、障害者の養護者に対する支援等に関する法律(障害者虐待防止法)」の通報義務に病院を加える事。
4.権利擁護を目指す厚生労働科学研究は、本事件も含めた厳しい人権状況を踏まえたものにする事。
以上
・【コンボ】神出病院の医療従事者による、患者への虐待・暴行事件に関する声明]
・【日本精神保健福祉士協会】精神科病院における入院患者集団虐待事件に関する声明]
・【みんなねっと】 精神科病院における入院患者に対する集団虐待・暴行事件に関する声明]
・【兵庫県精神保健福祉士協会】精神科病院の医療従事者による入院患者への集団虐待事件に関する声明]
・【ひょうせいれん】神出病院事件につき、ひょうせいれんの意見と質問]
・【全国「精神病」者集団】医療法人財団兵庫錦秀会神出病院における虐待・暴力事件に関して(声明)]
・【日本精神科看護協会】精神科病院で発生した看護者による虐待・暴行行為の報道に関する声明]
・【全国精神障害者地域生活支援協議会】神出病院における患者虐待事件に対する声明]
・【日本メンタルヘルスピアサポート専門員研修機構】神出病院の虐待事件に対する緊急声明]
【神出病院事件まとめ】https://scrapbox.io/kande-abuse/
【独自取材】「10数年前から」入院患者を虐待 看護師ら4人を再逮捕 神戸 2020年3月24日ABSニュース関西
入院患者の頭にガムテープ、わいせつ行為強要 神出病院の元看護助手ら4人、新たな虐待容疑で再逮捕
2020年3月24日神戸新聞
有我譲慶「神出病院における患者への集団虐待・暴行事件について」2020年3月18日 認定NPO法人大阪精神医療人権センター YouTubeサイト
床やジャムなめさせる動画も 精神科で虐待疑い、再逮捕 2020年3月24日 デジタル朝日
具体的な虐待・暴行・監禁のイメージが見られる
精神疾患の患者たちに無理やり「性的な行為」させる…元看護助手ら「再逮捕」 2020年3月24日関西テレビ カンテレNEWS
年表【精神科で発覚した主な虐待・暴力事件】 2012年より
2012年3月[新潟県立精神医療センター](新潟) 男性患者が胸を骨折。第三者委の調査で看護師8人が暴力をふるった可能性。県が告発。容疑者不詳で書類送検 >>報告書PDF
同年10月[さわ病院](大阪) 認知症の男性患者が布団にくるまれ窒息死。看護師を解雇、逮捕。逮捕監禁致死容疑で起訴
2013年5月[西毛病院](群馬) 入院患者が殴られ死亡。看護助手の男を傷害致死容疑で逮捕・起訴。初公判で事実認める
同年10月[光ヶ丘保養園](宮城) 看護師7人を業務上過失致死容疑で書類送検。男性患者(86)に水分補給などをする際、手足を押さえつけて腰椎を脱臼骨折させ、出血性ショックで死亡させた疑い
2014年3月[東京都立松沢病院](東京) 50歳代の男性看護師が、入院患者4人以上の顔をたたくなど暴力。「死ね」など暴言も。都が発表
同年8月[肥前精神医療センター](佐賀) 入院患者の女性に暴行し、肋骨を折ったとして看護師の男を傷害容疑で逮捕(釈放、起訴猶予)
2015年6月[石郷岡病院](千葉) 看護師が保護室の患者の頭を踏みつける映像。准看護師2人を傷害致死容疑で逮捕、起訴。虐待が日常的だった疑い。千葉地裁は1人に無罪。もう1人は暴行罪で罰金30万円としたが、東京高裁は時効を理由に免訴(求刑各懲役8年)
同年9月[栗田病院](長野) 10代女性患者の体を触ったとして精神科医を準強制わいせつ容疑で逮捕、起訴。無罪主張。地裁で懲役2年の実刑判決
同年9月[新潟県立精神医療センター](新潟) 30代男性看護師が入院患者の男性を殴り、けが。停職処分、傷害容疑で書類送検
2017年7月[大和病院](神奈川) 10日間身体拘束されていたニュージーランド人男性が心肺停止。転院先で死亡
2018年3月[加茂病院](兵庫) 男性准看護師が女性患者の胸を触り、諭旨免職。男性看護師が男性患者に馬乗りになり平手打ち、依願退職
同年5月[山容病院](山形) 男性患者を押さえつけた際に右腕を骨折させる。「殺すぞ」と暴言も
2019年5月[大阪府立大阪精神医療センター](大阪) 保護室で看護師が患者の顔を叩く蹴るなどして暴行の映像で発覚。1週間のケガを負わす
2020年3月[兵庫錦秀会 神出病院](兵庫) 患者を裸にしてトイレで放水、キス強制、ベッドを逆さにして監禁などで看護師ら6人逮捕
※:太字は公的・有力病院。ジャーナリストでPSWの原昌平さんの「精神科で発覚した主な問題事件」から2012年以降の虐待等を抽出。2018年以降は有我が加筆
表作成:有我譲慶(認定NPO法人 大阪精神医療人権センター 理事)
2/12【630 調査の今まで通りの情報開示を求める院内集会】2019年2月12日 12:00〜14:30 参議院議員会館B107会議室(午前1時半より1階ロビーで通行証を発行します)
「630調査」とは毎年6月30日に厚労省がすべての精神医療機関に、全数データの提出を求め、集計結果を公開したもの。下記のリンク【「精神保健福祉資料」が変わります】
私たちは、誰もが精神を病むことが有り得る。その時のために精神科の医療機関が存在する。
しかし、強制入院が行われ、多くの閉鎖病棟をもつ精神科病院の実態を知ることは容易ではない。
「精神保健福祉資料」(630ロクサンマル調査)は、厚生労働省が各都道府県・指定都市に対して作成を依頼しているものであり、貴重な情報源である。
今まで、各地域では市民が、この630ロクサンマル調査の結果について各自治体に対し情報開示請求を行い、分析し、冊子を作りその情報を活用してきた。身体拘束の実施にかかわる情報もここにある。
しかし、昨年10月に日本精神科病院協会は「声明文」を出し、その中で「630調査への協力について再検討せざるを得ない」とした。そしてその理由を、昨年8月の毎日新聞の「精神疾患50年入院1773人」の報道にも触れながら「個人情報保護の観点から問題が多い」としているのである。そして今、全国で630調査の開示請求に対して、非開示の決定が相次いでいる。
630ロクサンマル調査は何ら個人情報を出すものでもないし、そのようなことは我々も望んでいない。貴重な情報はすべての市民、国民のものであり、その有用性に着目しながら「活かして」いくべきものである。
これでは、“民は由らしむべし,知らしむべからず”の時代に舞い戻ってしまうことになる。
貴重な情報を「共有」し、「活かす」という観点から一緒に考えたい。
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関連
【「精神保健福祉資料」が変わります】国立精神・神経医療研究センター https://www.ncnp.go.jp/nimh/seisaku/data/
【日精協630調査声明文に対する緊急声明】全国「精神病」者集団 https://jngmdp.net/2018/10/25/20181025/
【おりふれ通信:精神科病院統計が激変! あらためて個別精神病院統計の公表を求める】 http://orifure-net.cocolog-nifty.com/net/2018/01/post-f0de.html
【日精協:精神保健福祉資料(630調査)の実施についての声明文】 https://goo.gl/WqNnMC
【精神疾患50年以上の入院1773人 全国調査】毎日新聞 https://mainichi.jp/articles/20180821/k00/00m/040/127000c
主催:日本の精神科医療を考えるシンポジウム実行委員会
共催:精神科医療の身体拘束を考える会 |
沖縄国際大学3号館 202教室 10時〜12時(受付9時半〜) 当事者・家族・学生/無料 一般/1,000円(資料代) |
うつ病、統合失調症、神経症性障害などの精神疾患は「現代病」といわれるほどに激増しています。
厚生労働省が3年ごとにまとめている「患者調査」によると、2014年の精神疾患患者は392万人と過去最高の数字になっています。前回調査時(2011年:320万人)から3年間で70万人増えました。(1999年の調査では、204万人。過去15年で患者数はほぼ倍になっている。)
このような状況の中、地域医療の基本方針となる医療計画に盛り込むべき疾病として、指定してきたがん、脳卒中、急性心筋梗塞、糖尿病の4大疾病に、新たに精神疾患を加え「5大疾病」として、2013年度から国民に広く関わる疾患として重点的な対策が求められています。
「精神科医療」がより身近な医療サービスとして、必要な時代の中、「日本の精神科医療」については、「長期入院患者さんが多い」、「病棟の人員配置が少なく低コストで運営されている」など、諸外国が病床数を減らし、精神障害者の地域生活支援に政策変更したあとも、日本では精神科病床数の増加が続き世界の病床数の5分の1を占める状態となっています。昨今では「入院患者の身体拘束」や「監禁事件」による死亡事故が、社会問題としてクローズアップされました。患者や家族が何に悩み、どんな解決策が求められているのか、ひとりひとりが考えるべき時期に来ています。
今回開催するイベントを通して、『支援する側支援される側の枠を越え』さまざまな方々がつながり、「安心して心をやむことのできる社会」を構築するきっかけになれば幸いです。
私たちの質問に対して何1つ答えることはなかった同氏は、同じ協会誌 8 月号の巻頭言において、この 問題について再び筆をとった。
そしてその内容はまさに「正体見たり」というものだった。
「西欧を含めて、民主主義で国民が幸せになったという話は聞いたことがない。」
「そろそろ民主主義に対する幻想は捨てなければならない。」
「拳銃をもたせてくれ」どころか、実は民主主義を否定する山崎氏を、日本精神科病院協会を、私たち はこのままにしておいてよいのだろか?
民主主義を守り、健全な社会を築くために、私たちは何をすべきなのかを、徹底して考え、行動したい。
日時:2018年9月28日(金)正午~午後2時
※午前11:30より1階ロビーにて通行証を配布します。《参加費無料/申込不要》
会場:参議院議員会館 B107会議室
最寄駅:地下鉄「国会議事堂前」または「永田町」駅
精神科医療の身体拘束を考える会
(連絡先)長谷川 利夫 〒181-8612 東京都三鷹市下連雀
5-4-1 杏林大学保健学部作業療法学科 教授
E-mail:hasegawat@ks.kyorin-u.ac.jp 携帯電話:090-4616-5521
2018年6月21日(木)午後4:00~6:00参議院議員会館 B107会議室 午後3:30から1階ロビーで通行証を配布します。
増え続ける精神科医療の身体拘束。
それはついに、1万人を超え、10年で約2倍にもなった。
この問題は広く報道され、国会でも質疑が行われ、
国は身体拘束の全国調査を約束した。
まさにこれから原因を究明し、縮減の道筋を探していく時である。
このような中、日本精神科病院協会の会長のオピニオンとして「精神科医にも拳銃をもたせてくれ」という言葉がホームページを通じて社会に発信された。
これは全国の精神科病院の団体の機関誌の巻頭言であり、
その発言者はその会長の病院の「行動制限最小化委員長」であるという。
日本には言論の自由がある。これは最大限尊重されなくてはならない。
しかし、その言論は責任をもったものでなければならない。
銃を所持することが禁じられている我が国おいて、精神科医が「銃を持つ」ことを提案するこの精神科病院協会の「オピニオン」は果たして責任ある言論なのだろうか?
病んだ人に対して向かい合う医療者としては、果たしてどうなのだろうか?
このような言葉を生んでしまう社会のありようも含めて、
多くの方々と話し合う場をもちたいと思う。
日本精神科病院協会(日精協)のホームページのオピニオン>協会誌巻頭言>欧米での患者中心医療の外側で起こっていること
は、行動制限最小化の話題が、以下のように締めくくられていた。
「・・・病院の安全部門を請け負う民間警備会社はいまや成長産業で、拳銃や電気銃だけでなく、催涙ガス、手錠、警棒、そして最新鋭の双方向性通信システムで武装し、患者や医療現場を監視しています。欧米では、もはや患者の暴力は治療の問題ではなく治安問題になり、さらにアウトソーシングされてミリタリゼーションになりつつあります。そして欧米の患者はテロ実行犯と同等に扱われるようになってきています。これも時代の流れなのでしょうか。
ところで、僕の意見は「精神科医にも拳銃を持たせてくれ」ということですが、院長先生、ご賛同いただけますか。
精神科医療現場での患者間傷害、患者による職員への暴力に対応するため、日本精神科病院協会では精神科医療安全士の認定制度を検討している。」
ニュースサイトSYNODOS-シノドス-長谷川利夫代表の寄稿が掲載されました。ケリー・サベジさんのカルテから看護記録での落ち着きとまるで食い違う、医師の記録への疑問点を紹介しています。記録さえ整っていれば、違法性が問われにくい。医療者の「理性」に対する過剰な信頼という「専門家の罠」があるのではないか。身体拘束が増えてきていることには、人を人して見ずに「症状」としてばかり見たり、人を縛ることをルーチンに行ったりしていることが背景にあるのではないかと述べた。このような身体拘束が増え続ける社会は健全な社会ではない。と問いかけています。是非、ご一読下さい。
・・・(前略)精神科病院への入院は、本人がどんなに抵抗しても強制的に行われることも多く、さらに入院すればそこが閉鎖病棟で容易に外に出られない状況だったりする。そもそもが、医療者と患者さんがよい関係性を築きにくい状態にある。少なくともスタート地点はそうである。そのような中、人が人を縛る身体拘束が行われる。縛られる人が「はい、どうぞ喜んで縛ってください」などということは通常考えにくい。抵抗するのは当たり前である。
しかし、この抵抗を医療の立場では「興奮」など何らかの症状と見立てることもあり得る。一時的に身体拘束を解除して再度身体拘束をすることも病院ではあるが、その際に患者が抵抗しないと病院内では「再拘束スムーズ」など記録して、あたかも患者が「いい状態」として捉えたりもする。しかし患者さんは、たんに諦めていたり、抵抗したりしたらまた身体拘束される時間が延びると思って無抵抗になっていたりもするのだ。
このように、「医療者」と「患者」は異なった地点にいることを直視しなければならない。そしてその医療者は患者の行動を「症状」として捉え、はたまた、静かにしていても身体拘束をする力を持っている。あとあとのために、記録さえしてあれば違法性は問われにくい。・・・(中略)
精神科病院への入院は、本人がどんなに抵抗しても強制的に行われることも多く、さらに入院すればそこが閉鎖病棟で容易に外に出られない状況だったりする。そもそもが、医療者と患者さんがよい関係性を築きにくい状態にある。少なくともスタート地点はそうである。そのような中、人が人を縛る身体拘束が行われる。縛られる人が「はい、どうぞ喜んで縛ってください」などということは通常考えにくい。抵抗するのは当たり前である。
しかし、この抵抗を医療の立場では「興奮」など何らかの症状と見立てることもあり得る。一時的に身体拘束を解除して再度身体拘束をすることも病院ではあるが、その際に患者が抵抗しないと病院内では「再拘束スムーズ」など記録して、あたかも患者が「いい状態」として捉えたりもする。しかし患者さんは、たんに諦めていたり、抵抗したりしたらまた身体拘束される時間が延びると思って無抵抗になっていたりもするのだ。
このように、「医療者」と「患者」は異なった地点にいることを直視しなければならない。そしてその医療者は患者の行動を「症状」として捉え、はたまた、静かにしていても身体拘束をする力を持っている。あとあとのために、記録さえしてあれば違法性は問われにくい。・・・(中略)
医療の「専門性」によって「患者」を判断し、その人を縛るということは、きわめて大きな危険性を伴っている。病院という空間に入ってしまえば、そこでの言動はどんなに真摯なものだったとしても「精神症状」として捉えられ、それにより身体拘束される可能性がある。
最近は、認知症になった方が精神科病院に入院することも増えてきており、ますます可能性は増大してきていると言えるだろう。
私たちはなすすべはないのだろうか?・・・(中略)
今、この身体拘束はおかしいのではないか、おかしかったのではないか、という本人や家族の声が“精神科医療の身体拘束を考える会”にさまざま寄せられてきている。あまりに不当と思われる事例には、“考える会”として直接病院と話し合うことも始めている。
このような今までにない活動を続けていくことで、不適切な身体拘束を減らし、人権侵害や命を落とすことを防ぐことが何より大切だと考えている。
身体拘束が増えてきていることには、人を人して見ずに「症状」としてばかり見たり、人を縛ることをルーチンに行ったりしていることが背景にあるのではないかと述べた。このような身体拘束が増え続ける社会は健全な社会ではない。
2018年5月19日(土)午後1時~3時 (会場12時半)
日本記者クラブ会見場(千代田区内幸町2-2-1 日本プレスセンタービル9階)
https://www.jnpc.or.jp/outline/access
定員 80人(参加ご希望の方は以下のアドレスまでご連絡ください)
E-mail:hasegawat@ks.kyorin-u.ac.jp
(杏林大学 保健学部 長谷川 利夫)
日本の子どもたちに英語教師として親しまれていたケリー・サベジさん(享年27歳)が精神科病院で身体拘束ののち亡くなってから5月17日で一年となります。
これがきっかけで精神科病院における身体拘束に焦点があてられ、去年7月には“精神科医療の身体拘束を考える会”が発足しました。会には、ケリーさん同様、身体拘束後に亡くなった方のご家族からの訴えや、現在拘束されているという当事者の声が届いており、問題の根の深さを感じています。隔離・拘束だけでなく、日本だけ突出している長期入院の問題も含め、はたして日本の精神医療は患者の人権がまもられる仕組みになっているのか、この事態をいかにかえてゆけるのか、当事者もまじえて、様々な立場の人と議論し、変革へのきっかけをつかみたいと思います。
◎挨拶と基調報告
“精神科医療の身体拘束を考える会”代表 長谷川利夫
◎ケリー・サベジさんはなぜ亡くなったのか?
マーサ・サベジさん
◎本会の開催に寄せて一言
精神科医 斎藤環氏【予定】
◎考える会”に寄せられた声、活動の報告 佐々木信夫弁護士
◎当事者からの訴え
~フロアより
姉を亡くした女性、大学病院から退院した男性 【予定】
◎患者の人権がまもれる制度になっているか 三枝恵真弁護士
◎質疑応答 司会進行 迫田朋子
お願いがあります。
サベジさん、日本人のご遺族に対し、心を寄せてください。
スキャンダラスな事件としてではなく、不幸なアクシデントとしてではなく、なぜこういう問題が起こるのか、起こす構造は何なのか、一緒に考えてください。
私たちは、身体拘束は人の尊厳を傷つけ、命まで奪いかねないものという共通認識を持っています。
身体拘束によって苦しめられた方々からの話を多く収集し、社会に知らせることが必要です。
身体拘束の実施過程の可視化など、実施の適切さを監視し、最小限にするシステムが必要です。
今、この瞬間も全国の精神科病院で行われている隔離や身体拘束をなくすためには、ここにいるメディアの皆さんの理解が欠かせません。
私たちは、その理解を進めるために力を尽くすことを惜しみません。
どうか今日を機に、末永くお付き合いいただけるよう、お願いします。
宛て先
安倍晋三 内閣総理大臣殿 および
加藤勝信 厚生労働大臣殿
塩崎恭久 元厚生労働大臣殿
署名へのご協力と拡散をお願いします >>> https://goo.gl/CVtrTF
身体拘束は人が人をしばることです。医療者は時にこれを「抑制」と呼びます。身体拘束は本当に必要なのか、共に考えましょう。
2017年10月28日(土) 13:00~15:30 (30分程度延長することがあります)
荏原文化センター(えばらぶんかセンター)
【演者】
長谷川利夫(杏林大学保健学部教授)
川田龍平(参議院議員)
宇田川健(コンボ共同代表理事)
今年5月、ニュージーランド人男性が日本の精神科病院で身体拘束後に亡くなりました。肺塞栓症が起きたと推定されています。身体拘束はこのようなリスクを抱えています。それだけでなく、人によって人がしばられる行為は、多くの場合人としての尊厳を傷つけ、人に人を従わせる側面もあります。
日本では身体拘束が「仕方がない」として長年行われており、その数も年々増え続けています。しかし、精神医療において身体拘束は本当に必要でしょうか? 海外では身体拘束を極めて厳格に取り扱う国もあります。日本では、あまりにも精神障害を持つ人の人権を軽んじていないでしょうか。現状を変えるために何ができるのか。制度や医療者の関係性という側面から、たくさんの選択肢があると思います。
今回のこんぼ亭は、このようなことを考えます。
【参加費】
事前申込み 3000円(コンボ賛助会員は2000円 →賛助会員)当日 3500円(※当日は賛助会員も同額)
事前申込みの締切日 10/23(月)正午まで
当日参加可
申し込み 詳細こちら
>>> 認定NPO法人地域精神保健福祉機構・コンボ「こんぼ亭」係
2017年11月18日(土)13:30~16:30(受付開始13:00)エルおおさか南館5階 南ホール
2004年に厚生労働省が「入院医療中心から地域生活
そこで、本記念講演会では、人間の尊厳の大切さを確認
人間の尊厳から日本の精神科医療を考えるうえ
参加申し込み >>> NPO大阪精神医療人権センターサイト
藤井克徳(日本障害者協議会)
伊藤順一郎(メンタルヘルス診療所しっぽふぁーれ)
シンポジスト
大熊一夫(ジャーナリスト)……精神病院の怖さは昔も今も変わらない
佐藤光展(読売新聞記者) ……石郷岡病院事件は日本の精神病院問題の象徴
時男さん(長期入院経験者)………『60歳からの青春』を喜んではいられない
長谷川利夫(杏林大学教授)……ニュージーランド青年身体拘束死は語る
増田一世(やどかりの里) ……隔離収容型の精神病院の終焉を!
主催 日本のMattoの町を考える会協力 日本障害者協議会/精神科医療の身体拘束を考える会/障害者映像文化研究所/地域精神保健福祉機構(コンボ)/ACT全国ネットワーク
日本の精神病院には凡そ30万人が入院しています。その半分以上は、幽閉された状態です。自由意志や自己決定をはく奪されて、つまり、奴隷状態なのです。
新聞記者だった私は48年前に、アルコール依存症を装って精神病院に潜入し、『ルポ・精神病棟』を新聞に連載しました。その単行本は30万部も売れました。しかしながら、日本の監獄型治療装置群はびくともしません。
これが60年以上も昔の事なら、世界の国々の精神保健は、押しなべてこんな大収容主義でした。しかし、いまやこの種の人権はく奪型治療装置が有効でないことは、世界の常識です。
世界は変動しています。イタリアは1999年に県立精神病院のすべてを閉じました。2017年には、国立の司法精神病院さえ閉じました。今残るのは、5000床たらずの私立精神病院と、各州に散った数百人分の保安施設だけです。
かつて約12万人もの精神疾患の人が収容されていた精神病院が消えて、その12万人が普通の市民に戻りました。それで何が起こったか。なーんにも起きません。
トリエステの町は精神病院を閉じて37年になります。精神病棟の代わりに地域精神保健サービス網を敷いて、精神疾患の人々を支えています。重い病気の人が、在宅で支えられているのです。
私は齢80歳の年金生活者ですが、“現代の奴隷”を置き去りにして、あの世とやらに旅立つわけには参りません。
繰り返しますが、日本の監獄型治療装置は恐ろしく野蛮です。時代遅れです。この事実を、多くの日本国民に知っていただきたいと思って、映画『精神病院のない社会』の作成を思いつきました。ドイツの映像大学の学生、西村きよしさんが、撮影に録音に、八面六臂の手助けをしてくれました。
80歳の手習いを、お笑いください。
2017・9・5
毎日新聞動画ニュース 2017年7月19日 厚生労働会の記者会見(一部)
精神科医療における身体拘束の相談に応じます。
体験談などもあればお寄せ下さい。
Eメール:norestraintjapan@gmail.com
写真は病棟の全患者が身体拘束されていた「朝倉病院事件」2000年の報道
2017.7.25 精神科医療の身体拘束を考える会ホームページを立ち上げ
7.20
電子署名を開始。
相談開始
7.19 ①精神科医療の身体拘束を考える会発足
②厚生労働記者クラブで記者会見
③日本外国特派員協会で記者会見
7.18 長谷川利夫がFM番組で事件と身体拘束を語る
7.13 ニュージーランド・ヘラルド新聞で第一報
8.9 厚労省に身体拘束の問題について申し入れ
9.26日 厚労省にケリー・サベジさんの家族と共に当該病院に対する指導を申し入れ
9.22 医療観察法病棟での長期身体拘束への働きかけ
10.9 「日本のMattoの町をどうする」上映集会に長谷川代表がシンポジストに
10.13 神奈川県に他の病院への検査等を要請
10.19 会報第1号を発行
ケリーさんの身体拘束後死亡事件をはじめ、隔離・身体拘束に関連する報道を紹介します。
新聞・テレビ・ラジオ・独立メディア・海外の報道など
準備中